褥瘡(床ずれ)

褥瘡とは、主に体の一部だけに負荷がかかったことにより、血液の流れが滞り「ただれ」や「傷」などができることを褥瘡(床ずれ)といいます。

褥瘡の発症原因

私たちは寝ているときには、無意識に寝返りをうちます。寝返りをうつことで、体の一部だけに負荷がかかることはありません。しかし、寝たきりの方の多くは、自力で寝返りをうつことができないため、体の一部に長時間負荷がかかってしまいます。

長時間負荷がかかることで、皮膚(細胞)に十分な血液や酸素などが行き渡らなくなり、褥瘡になります。

◇ 褥瘡は進行性

皮膚表面だけではなく骨に近い組織まで炎症が進行するため、早期対応をしなければ合併症にかかるリスクが高まります。

褥瘡になりやすい人の特徴

よく一般的にいわれているのが「寝返りがうてない方」「皮膚トラブルが起きやすい方(皮膚を清潔に保っていない方)」「栄養状態が悪い方」「テープ止めオムツを履いている方」「免疫力が落ちている方」です。

◇ 褥瘡が発生しやすい部位

基本的には、骨が突起している部位は褥瘡になるリスクが高いといわれています。下記に、褥瘡が出来やすい部位についてまとめましたので、ご覧ください。

★ 褥瘡が発生しやすい部位
※主に、骨が突出している部位が発生しやすいといわれている。

● 仰向けの場合
・後頭部
・肩甲骨
・仙骨部(お尻の割れ目の少し上の部分。背骨の末端)
など

● 横向きの場合
・耳
・肩
・肘
・腸骨(腰)
・膝
・くるぶし
など

褥瘡は初期の対応が大事

褥瘡は、ただの皮膚のトラブルではありません。褥瘡に対して適切な処置を行わなければ、皮膚などの周辺組織が段階的に「壊死」していきます。

さらに、この症状が進行していくと皮膚に穴が空き、やがて骨が露出していきます。このような状態までいくと、何らかの感染症にかかる可能性があり、場合によっては死に至ります。

◇ 皮膚は細菌などから守るバリア

皮膚というのは、細菌などから守る役目を持っています。しかし、皮膚に穴が空き、骨まで露出している状態だと、細菌から守る役目は果たせません。

そのため、褥瘡はたかが皮膚トラブルとは思わず、早期発見、早期治療が肝となります。

● 栄養摂取
・十分な栄養を摂ることで、褥瘡になるリスクを下げられます。また、褥瘡になった場合でも、十分な栄養を摂ることで、早期回復が見込まれます。

● 清潔保持
・不潔状態の肌(皮膚)は、褥瘡になるリスクが高くなります。常に、清潔を意識してください。また、乾燥した肌もよくありませんので、なるべく保湿を心がけてください。

● 血流を良くする
・血流が悪くなることで、褥瘡になる危険性があります。そのため、よく負荷がかかる部位周辺をマッサージすることをお勧めします。

● こまめな体位変換(体を動かす)
・同じ部位に長時間負荷がかかることで、褥瘡になる危険性があります。そのため、およそ「2~4時間」ごとの体位変換(体の向きを変える)をお勧めします。

介護保険サービスの利用

もし万が一、褥瘡になってしまった場合や、褥瘡を予防する用具を利用したいという方がいると思います。そんな方には、介護保険サービスの利用をお勧めします。

● 褥瘡になってしまった方
「訪問看護サービス」の利用をお勧めします。訪問看護サービスというのは、自宅に訪問看護師が来て、褥瘡になった部位の処置を行ってくれます。また、自宅でもできる褥瘡予防のアドバイス、治りを早くするためのアドバイスなども教えてくれます。

● 褥瘡の予防がしたい
「福祉用具貸与」の導入をお勧めします。福祉用具貸与というのは、介護保険で福祉用具をレンタルするサービスのことをいいます。福祉用具貸与の中には、褥瘡を予防する用具があります。

・床ずれ防止マット
体にかかる圧を、特殊なマットの効果によって軽減するマットです。

・体位変換器
体の向きを自動で変えてくれる装置です。一定時間で体の向きが変わるため、除圧効果が得られるため褥瘡発生のリスクを下げられます。